2010/05/17

善悪のかなた

NPO 言論責任保証協会 というものがある。
以前、関係者の教授の下で資料集めを手伝っていた。
その教授は(左翼系知識人的な正義感を持って?)世の中の「あたかも真実の様に宣伝された嘘」を集め、いつか「ウソの博物館」を作ろうとしている。

学会にお邪魔した時、いわゆるニセ科学の書籍を大量に展示していた。(教授曰く、表紙のデザインが似ているとのこと)この手の本はすぐ書店から姿を消してしまうので、ブックオフで購入するそうだ。

その中にアガリクスの本があった。アガリクスとはガンが治るというキノコだ。もちろん根拠は無い。
ページをめくると、びっしりと赤線が引いてあった。教授のものでは無く、購入者のものだった。

2010/05/02

新聞

毎日新聞の元記者と話す機会があった。
佐々木俊尚が「新聞社は高コスト体質だ」って言ってたので、それってほんと?と聞いた。

曰く、日本の新聞の特徴として、細かな配達網があるけれど、実は新聞の販売店と新聞社は同じ会社ではない、ということ。インフラ=販売店、ソフト制作=新聞社、というイメージ。
つまりこれ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E8%81%9E%E8%B2%A9%E5%A3%B2%E5%BA%97

で、この販売店の維持にかかるお金が高コストだということらしい。
もちろん別会社なので、それもおかしな話なんだけど、実際こんなニュースもある。(「押し紙」でなく補助金に注目)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100428/trl1004282253005-n1.htm

この話は内定先の社長もしていた。日経電子新聞が4000円なのは1000円とかで売っちゃうと誰も紙新聞の「配達」を頼まなくなり、販売店がつぶれるから、と。

新聞電子化の効用は色々あるけど、流通コストが下がるっていうのが大きい。
そのとき新聞社達が販売代理店を守るように、つまり日経のように、電子新聞の価格を高く設定するなら、その時は配信プログラムの書ける人がベンチャー新聞社を立ち上げるチャンスかもしれない。

2010/04/30

印象

来年からベンチャー企業で働きます。自分と同じ方向を向いていると感じたので就職しました。
社員も資本も少なく、吹けば飛ぶような会社です。野生の感が必要です。最後の一年は、農耕民族で無く狩猟民族としてのトレーニングを積みます。判断を間違えたら死んじゃうかもしれません。でもそれが普通なのかもしれません。

以下、就職活動で印象に残った他人の言葉
1.イケメンばかりのベンチャーに大手コンサルを一年で辞めて入社したイケメン
・やっぱりねえ、ベンチャーは楽しいよ。手作り感?っていうの?
・英語は出来た方がいいよ!成功率が3倍くらい違うよ。
・なんでコンサルが新卒採用してるか分かる?よく考えてみなよ。何のプロフェッショナルでも無いやつがコンサルで採用なんて、変だと思わない?

2.製鐵会社から社内留学でオックスフォードに行った白髪のシブいおじさん
・金融はカタギではないね。
・金融との打ち合わせの時は灰皿出さないよ。飛んでくるからね!hahaha!
・ビジネスはスポーツだよ。フェアに戦って勝ったらお金もらうんだよ・・・とはいえ、営業はかなり際どい事もやるよ。

3.航空会社の頭の切れそうな喋り方をする人事
・航空業界に入れば将来安泰かというとそんな事は全くありません。
・弊社は二期連続で赤字です。来年はどうしたって黒字を出さねばなりません。そうしないと信用を失い、資金調達できなくなります。黒字化は急務です。
・入社式は飛行機格納庫で行います。

2010/03/31

微笑ましいこと

ちょっと前、野菜サラダをもらった。
でもぼくはドレッシングを持っていないので、オリーブオイルと塩で食べた。
貧乏学生みたいだな、と思ったけれど、結構おいしかった。

後日、サークルの追いコン。フランスに行ったさんごちゃんがイーグルさんと話していた。その会話をポールちゃんが立ち聞きした。曰く、
「フランスでサラダを食べたらオリーブオイルと塩がかかっていました!」
とのこと。

ぼくが貧乏学生気分でやっていたことはフランスではよくあることだったというお話。
それ以来、サラダはオリーブオイルと塩で食べている。

2010/03/25

試験3

三月も末だと言うのに冷たい雨が降っている。
坂を上り、大使館のすぐ隣のビルへ。入った瞬間のタバコの匂い。お粗末な壁の修理。旧式のトイレ。帝国データバンクの社員であれば、50点以上の評点は付けないだろう。

試験時間5分程前に面接会場に通され、待つ。15分待った頃に、試験監督二人現れる。
一人は営業の偉い人。魅力的な悪人顔をしている。もう一人は分析官。分析官は一次試験の時に面接をした方だった。
二人に何度も来て頂いてすみません、と言われる。しかしそんな事を言われても困る。こちらは好きで来ている。
研究内容と志望動機を聞かれる。この質問は三回目だ。

一通り喋り終えると、営業が私の喋り方に対する評価をする。
「アレコレこうで、こういう喋り方だね。ところで、ふだんどんな感じで友達と喋っているの?」

普段の喋り方?言われてみれば、意外と知らない。

その後は営業の営業話に終始した。彼はパワーのある、引きつけられる喋り方だった。製鐵会社の最適化システムを褒めちぎっていた。
分析官は暇を持て余しているようだった。私は隙を見て営業に質問した。すると、逆質問が帰って来た。

「つまり、問題は在庫管理なのですか?」
「そうじゃないんだ。どう思う?」

左手の窓に目を移して10秒くらい考えた。最初の5秒は、人は考える時、対象から目をそらすんだな、という事を考えていた。

私が「最後の質問」をし、営業がそれについて喋り倒し、そのうち脱線して目的を見失ない、分析官が助け舟を出し、「そうだったねうわっはっは」といったところで試験は終了となった。エレベーターまで案内され、中に入り、どうもありがとうございました、といって頭を下げる。エレベーターの扉が閉まるまで、頭を上げてはいけない。

扉が閉まり、頭を上げる。のど飴をなめながら帰る。

2010/03/18

ねじまき鳥クロニクル

いま、ねじまき鳥クロニクルという村上春樹の小説を読み返している。
まさにちょうど一年前、この小説を読んだ。
休学を決意し、一年間どう過ごすか考えている時期だった。無根拠な自信と無根拠故の不安が入り交じっていた。

その日は友人の家に泊まっていて、朝日で目が覚めた。でも友人は眠っていて、起こすのも何だからテーブルの上にあったねじまき鳥クロニクルの一巻を窓の光で読んだ。
その部屋は汚かった。安っぽい小さなこたつの上に空のレトルト袋が乗っていた。袋から直接食べたようだ。床には色々なものが散らばっていた。思い出せないけれど。
でもそれはノスタルジーを伴う汚さで、悪くなかった。

そういう状況でねじまき鳥クロニクルを読んで、それから一年が経った。
そして今同じ小説を読んでいる。
本の内容は変わらない。でも、その他は何もかも変わってしまったような気がする。

2010/03/11

リリィ・シュシュのすべて

この映画は、素晴らしいが好きではない。嫌だが嫌いではない。つまらないがとても貴重な気がする。

星野というキャラクターが、田んぼの中でヘッドフォンを耳に音楽を聴きながら突然叫ぶシーンがある。しかし、観客(私)には、星野の叫びはまさに彼の聴いている「音楽」に遮られて聞こえない。

彼の叫びは(自ら作った?)壁の囲いの中に反響するのみで、誰にも伝わることは無い。抜き差しならなくなった人間の孤独がそこに現れている。