2010/03/11

リリィ・シュシュのすべて

この映画は、素晴らしいが好きではない。嫌だが嫌いではない。つまらないがとても貴重な気がする。

星野というキャラクターが、田んぼの中でヘッドフォンを耳に音楽を聴きながら突然叫ぶシーンがある。しかし、観客(私)には、星野の叫びはまさに彼の聴いている「音楽」に遮られて聞こえない。

彼の叫びは(自ら作った?)壁の囲いの中に反響するのみで、誰にも伝わることは無い。抜き差しならなくなった人間の孤独がそこに現れている。