2010/03/31

微笑ましいこと

ちょっと前、野菜サラダをもらった。
でもぼくはドレッシングを持っていないので、オリーブオイルと塩で食べた。
貧乏学生みたいだな、と思ったけれど、結構おいしかった。

後日、サークルの追いコン。フランスに行ったさんごちゃんがイーグルさんと話していた。その会話をポールちゃんが立ち聞きした。曰く、
「フランスでサラダを食べたらオリーブオイルと塩がかかっていました!」
とのこと。

ぼくが貧乏学生気分でやっていたことはフランスではよくあることだったというお話。
それ以来、サラダはオリーブオイルと塩で食べている。

2010/03/25

試験3

三月も末だと言うのに冷たい雨が降っている。
坂を上り、大使館のすぐ隣のビルへ。入った瞬間のタバコの匂い。お粗末な壁の修理。旧式のトイレ。帝国データバンクの社員であれば、50点以上の評点は付けないだろう。

試験時間5分程前に面接会場に通され、待つ。15分待った頃に、試験監督二人現れる。
一人は営業の偉い人。魅力的な悪人顔をしている。もう一人は分析官。分析官は一次試験の時に面接をした方だった。
二人に何度も来て頂いてすみません、と言われる。しかしそんな事を言われても困る。こちらは好きで来ている。
研究内容と志望動機を聞かれる。この質問は三回目だ。

一通り喋り終えると、営業が私の喋り方に対する評価をする。
「アレコレこうで、こういう喋り方だね。ところで、ふだんどんな感じで友達と喋っているの?」

普段の喋り方?言われてみれば、意外と知らない。

その後は営業の営業話に終始した。彼はパワーのある、引きつけられる喋り方だった。製鐵会社の最適化システムを褒めちぎっていた。
分析官は暇を持て余しているようだった。私は隙を見て営業に質問した。すると、逆質問が帰って来た。

「つまり、問題は在庫管理なのですか?」
「そうじゃないんだ。どう思う?」

左手の窓に目を移して10秒くらい考えた。最初の5秒は、人は考える時、対象から目をそらすんだな、という事を考えていた。

私が「最後の質問」をし、営業がそれについて喋り倒し、そのうち脱線して目的を見失ない、分析官が助け舟を出し、「そうだったねうわっはっは」といったところで試験は終了となった。エレベーターまで案内され、中に入り、どうもありがとうございました、といって頭を下げる。エレベーターの扉が閉まるまで、頭を上げてはいけない。

扉が閉まり、頭を上げる。のど飴をなめながら帰る。

2010/03/18

ねじまき鳥クロニクル

いま、ねじまき鳥クロニクルという村上春樹の小説を読み返している。
まさにちょうど一年前、この小説を読んだ。
休学を決意し、一年間どう過ごすか考えている時期だった。無根拠な自信と無根拠故の不安が入り交じっていた。

その日は友人の家に泊まっていて、朝日で目が覚めた。でも友人は眠っていて、起こすのも何だからテーブルの上にあったねじまき鳥クロニクルの一巻を窓の光で読んだ。
その部屋は汚かった。安っぽい小さなこたつの上に空のレトルト袋が乗っていた。袋から直接食べたようだ。床には色々なものが散らばっていた。思い出せないけれど。
でもそれはノスタルジーを伴う汚さで、悪くなかった。

そういう状況でねじまき鳥クロニクルを読んで、それから一年が経った。
そして今同じ小説を読んでいる。
本の内容は変わらない。でも、その他は何もかも変わってしまったような気がする。

2010/03/11

リリィ・シュシュのすべて

この映画は、素晴らしいが好きではない。嫌だが嫌いではない。つまらないがとても貴重な気がする。

星野というキャラクターが、田んぼの中でヘッドフォンを耳に音楽を聴きながら突然叫ぶシーンがある。しかし、観客(私)には、星野の叫びはまさに彼の聴いている「音楽」に遮られて聞こえない。

彼の叫びは(自ら作った?)壁の囲いの中に反響するのみで、誰にも伝わることは無い。抜き差しならなくなった人間の孤独がそこに現れている。

2010/03/10

ショーシャンクの空に

見た直後はあんまりいい映画だと思わなかったけど、最近気になってきたので感想メモ


・何事も無理だと思わないこと。
・毎日努力を続けること。
・日常をそつなくこなすこと。
・秘密を人に言ってはいけない。

主人公が雨に向かって両手を広げるシーンはとてもよかったです。

2010/03/08

試験2

30分前に着く。エントランスに飾ってある絵を見る。
小学2年生の描いた、ゴッホのような羊の絵がある。

時間に待ち合わせ場所に行くと、私の他に女の子が居た。
彼女はしきりに緊張しています、と言っていたがそうは見えなかった。

ソファで待っていると人事が来る。
控え室に案内されると、他に1名男性が待っていた。最終に残ったのが二人だけなら行けるだろう、と思っていたが落胆した。

後で分かることになるが、全部で6名程いた。

控え室での時間はとても長く感じた。
やがて男性が呼ばれ、女の子が呼ばれ、私一人になった。

自由に飲んでいいと言われたキリンビバレッジのウーロン茶を飲んだ。
ポケットに手を突っ込んで14階の窓から外を眺めた。曇っている。寒々しい。
パイプ椅子に座って塩野七生のマキアヴェッリ語録を読む。
「・・・天も、自ら破滅したいと思う者は、助けようとはしないし、助けられるものでもないのである。」


人事来る。


荷物を置き、面接会場へ。


技術部の重役と人事。合計6名。
それぞれ自己紹介をする。その度によろしくお願いしますと言う。


今日読んだ新聞記事を話す。
「・・・市長にさんざん厳しい質問をしておいて最後に「彼はシャイだ」で落とす。さすが朝日です。」


「最後に自己アピールをして下さい」
「つまり、私は「いいおとこ」になりたいんです・・・」


15分程。厳しく追及されるかと思ったが、意外と和やかに、すぐに終わった。しかし、言いたい事はあまり言えなかった。合格している自信はない。


終了後に健康診断へ。
この会社は、古びているとはいえ、本社の中に医療施設を備えている。驚く。
内科医や看護士等のスタッフも専属のようだ。


身長体重や視力測定を行う。普通の健康診断だ。ただ、色覚検査があったのは、業界特有だと思った。
採血もされる。これでふらふらになってしまった。
しばらく横にさせてもらう。体が冷たくなり、神経が静かに波うっている。
親知らずを抜く時に吸わされた笑気ガスの感覚に似ている。


やがて落ち着き、残りのメニューをこなして、帰る。

試験1

受付の電話で人事室に来訪の旨を伝える。
すぐに人事来る。前もいたお姉さんだ。入り口の赤いソファでしばらく待つよう言われる。
左手の部屋では、イギリス帰りらしい男が「コミュニケーション能力」という言葉を使って自身のコミュニケーション能力をアピールしている。

人事来る。

まず控え室に通される。二次試験の対応をしてくれた長身の人事が試験の説明をする。
「私が入ったら、少し待ってノックしてから入って下さい」
いったい何の意味があるのか分からなかったが、言われた通りにする。

部屋に入ると、自分の椅子と向かい合う様におじさん達が座っている。全部で5人。中央に社長。例の若い男性は左隅。

挨拶をし、自己PRや志望動機といった基本的な事を聞かれる。
途中、髪が長い、話が固い、等と言われる。

これ終わったら美容院いって来ます!
そうなんですよー私愛嬌なくて・・・なんかいい方法ないですかね?

等と答える。おじさん達笑う。
結局面接は私に対するダメ出し大会、つまりどうすれば愛嬌でるかという話題に終止した。

後で気付いたが、私は二次試験の時に「自分は殆ど怒らない」と言ったので、それを試されていたのかもしれない。

最後、見送りにきた長身の人事に約一週間後に合否連絡します、と言われる。
そうですか、と言って帰る。