その時僕は21歳で、あと何週間のうちかに22歳になろうとしていた。当分のあいだ大学を卒業できる見込みはなく、かといって大学を辞めるだけの確たる理由もなかった。奇妙に絡み合った絶望的な状況の中で、何ヶ月ものあいだ僕は新しい一歩を踏み出せずにいた。
世界中が動きつづけ、僕だけが同じ場所に留まっているような気がした。1970年の秋には、目に映る何もかもが物哀しく、そして何もかもが急速に色褪せていくようだった。太陽の光や草の匂い、そして小さな雨音さえもが僕を苛立たせた。
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この文章は、普通よりも長く大学に留まる人の心象を表した簡潔かつ正確なものだ。名文と言ってもいい。もっとも、この素晴らしい文章のような経験をすることは素晴らしいことでは無いかもしれない。