池澤夏樹「スティル・ライフ」
「青春小説」というあおりに惹かれて買う
青春、いいね!
文庫版、装丁はウィリアム・モリス
きれいな名前だ、どんな女の人なのかな、と思って本を開くと、
リリカルなおっさんが俯いた写真があってびっくりした
いや、ほんとはがっかりした
以下引用
「(古代では)心が星に直結していて、そういう遠い世界と目前の狩猟的現実が精神の中で併存していた」
「今は?」
「今は、どちらもない。あるのは中距離だけ。近接作用も遠隔作用もなくて、ただ曖昧な、中途半端な、偽の現実だけ」
偽の現実、と言われると何も反論できない
そういうものは知らない間に周りに溢れているのかもしれない
でも、いくらそれが嫌でも、来ないで!来ないで!わたしは真実しか愛せない!
っていうスタイルはちょっとつらい
虚構だろうと、それが現実を殻みたいに覆ってしまえば、
ぼくたちは結局従うしかない
人間のミニマムな本質は狩って食うことだということは正しいけど、
だからといってそんな生活をして生きていけない
(世の中には、農耕が始まってからファッキン階級社会が生まれたって言ってる人もいるんだよう!
縄文さんチョリース、弥生時代ファッキントッシュ!、って具合に)
嘘だと知りつつ変化の上っ面を滑りに滑ってゆく、
これはまあ情けないしちょっと悲しいけど
あんがい便利で楽しい事かもしれない
なにより、嫌でもそれから逃げられない
肥満したサラリーマンを見ると、
そんな巨体で、走れるのか?ってふと思う
猫に捕食されるぞ!